肩のリハビリエクササイズの目標

立った姿勢で(重力に対して)痛みなしに自動で以前の関節可動域まで改善することである。

筋力測定

次に筋出力の改善である。徒手筋力計(ハンドヘルドダイナモメーター)で肩関節の筋力を測る。左右比較あるいは以前の筋出力データがあるなら比較する。

ハンドヘルドダイナモメーター

    • 座った姿勢で肩関節内転位での外旋力(棘下筋)
    • うつ伏せで(腹臥位)で肩関節外転位90°での外旋力(小円筋と三角筋後部線維)
    • 腹臥位で肩関節外転位90°での水平外転力(僧帽筋下部線維)
    • 肘に損傷がある場合、握力を測る

如何にして痛みを抑えるか

運動負荷を肩外転(三角筋)の最大筋力40 – 50%でゆっくり(2 – 3秒)運動をする。

  •  目的
    • 感覚運動機能の回復。運動レベルを意識下で行い、痛みの知覚を確認。どの角度で痛みが生じるのかを知る。
    • 血液循環を高めることで自律神経を活性化する。
    • 運動によって神経調節物質のノルエピネフリン、セロトニンを活性化、下行させ脊髄レベルで痛みを抑制する。

運動外の部分と協調しながら運動出力

痛みには炎症後の筋スパズム(痙縮)によるもの、関節包の拘縮、癒着組織による慢性痛などがある。運動はできるが動かすと違和感があり、張りがある。時に縫合など筋内の引っ掛かりもある。

  • 等尺性筋収縮
    • 肩関節外旋運動を等尺性筋収縮で行う。たとえば、チューブ(セラバンド)を使って同じ外旋位を保ちながら後方に下がり、チューブの張力を上げる。
    •  柔軟性改善を高めるために自己抑制を活用する。
      • あお向け(背臥位)において肩関節内転位で外旋/内旋運動を徒手抵抗で行う。
      • 背臥位で肩関節屈曲位90°肩甲面でで肘を伸ばしリズミカルスタビリゼーションを行う。
      • 横に寝て(側臥位)で肩甲骨の内転/外転を徒手抵抗で行う。
      • 立位で等尺性筋収縮において他動で振動を与えるリズミカルスタビリゼーションを与える。

キネティックリンク

7つの自由度の動きを含む3つの関節(肩、肘、手関節)を連動させ、代償運動から張りあるいは引っ掛かりのある筋を機能させる。

    • 7つの自由度には肩関節外転/内転、屈曲/伸展、外旋/内旋、肘関節屈曲/伸展、手関節屈曲/伸展、尺側/橈側屈、回内/回外が含まれる。その動きには手を後ろに回し肩甲骨を触ろうとする。手を前から回しシートベルトをつかもうとする。
      • Robberyエクササイズ
      • Lawnmowerエクサイズ
      • メディシンボールエクササイズ
    • キネティックリンクエクササイズは体側近く、肩関節内転位あるいは伸展位から行い、痛みを伴わないように遠位部から近位部へと上肢を連動させる。
    • 下肢の屈伸を使うことで下肢から上肢への一連の機能を高める。
    •  両手メディシンボール投げ:
      • チェストパス
      • サイドスロー
      • 肩越しスロー
    • 片手でミニメディシンボールを使って片膝たちスロー

トレーニングは運動強度中程度

オーバーヘッド障害予防トレーニングは運動強度中程度で週2 – 3回行う。

    • 1セット15回を目安に2 – 3セット
    • 異なる肢位(臥位、四つんばい、片膝たち、立位、片足立ちなど)
    • たくさんの運動器具(チューブ、ダンベル、リストカフ、ミニメディシンボール)

関節モビライゼーション

関節モビライゼーション活用しながら柔軟性を改善する

  • 背臥位で下関節上腕靭帯を上下にモビライゼーションを与えるならがら柔軟性を改善する
    • 肩関節屈曲
    •  肩関節外旋
    •  肩関節内旋
    • 肩関節水平内転

note:筋肉の張り解消法ー上行路、脳内物質の仕組みからひも解く