5月13日にDr. Akizukiと再会しました。Dr. Akizukiは、MLBサンフランシスコ・ジャイアンツのチーム整形外科執刀医です。何十年も投手のトミージョン手術、インターナルブレス修復術をされています。日本人選手にもされています。私も2019年から20年までDr. Akizuki医師の手術を間横で見学させていただきました。毎週水曜日、朝7時から最後終わるまで見学し、いろいろ教えていただきました。一日5件の手術はされていました。たくさんのトミージョン手術、インターナルブレスによる再建術、SLAP損傷修復術など見学できたことは幸運でした。
Dr. Akizukiは5月11日から14日までパシフィコ横浜で開催された日本整形外科学会の外国人講演者の一人に招聘され「Orthopaedic Aspects and Controversies in Baseball in the US」を話されました。
個人的にお話する機会があり、最近の2年間は肘のUCL再建術にはハイブリッド術を採用していることを聞きました。これは従来のトミージョン手術に加え、上からインターナルブレスを当てるものでした。現在ミネソタツインズでプレーしている前田健太選手もこのハイブリッド術を受けました。
MLBとしてトミージョン術後、再再建術が発生していて、それが術後平均3.8年であることでした。あくまでもMLBとしてであり、また術後からの平均年数のことです。全員がそうではありません。ダルビッシュ有選手や大谷翔平選手のことではありません。ただUCL再再建術が発生していることから取り入れられたのがハイブリッド術でした。
私が見学していた2020年まではDr. Akizukiはこのハイブリッド術を採用していなく、むしろ尺骨側にグラフトを通すために横に向けてトンネル開け、加えてアンカーを留めるためにもう一つ上から穴をあけることで骨が崩壊するのではないかと指摘すらしていました。ちなみに上腕骨内側上顆の方は縦に一つの穴を開けてすべてドッキングさせると話していました。
トミージョン術後のMLB現役選手の平均は4.8年と報告されています (Camp 2018)。これもあくまでもMLBとしての平均であり、すべてがそうではありません。
Dr. Akizukiは、MLBの投手は大きな契約となり、ベストの選択が求めらとのことでした。手術の選択は球速で決まるとのことでした。たとえば尺骨神経炎だと小指側にしびれがあったとしても球速は落ちない。しかし尺側側副靭帯が損傷すると球速は落ちる。球団は球威が落ちた投手とは契約しないとのことでした。
最近も大型契約でMLBに挑戦する日本人投手がいます。その際MRIで徹底的に肘の検査があります。検査次第で契約金が変わるほどです。あるいは5年契約ですぐに手術をして残り3年プレーする選択もあるが、そこは選手の選択になります。球団はメディカルの提案に基づて契約をする。あらゆる投手の潜在する障害リスクから回避しようとします。ちなみに現在オークランド・アスレティックスでプレーしている藤波晋太郎選手の肩、肘は完璧だと、Dr. Akizukiは言っていました。彼の体格、球速の潜在能力からはもっと期待できるはずだが、今のところ3回までとのことです。最初に打たれるが次の3回は完璧、あるいは最初の3回は完璧だが、次の回で崩れる。
Dr Akizukiのようなドクターが日本には必要だと思いました。エビデンスを共有し、エビデンスに基づき判断する。SFジャイアンツも投手獲得にはDr. AkizukiのMRIによる診断が不可欠です。このようなドクターと出会えたことは本当に光栄だと思いました。
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